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Profile
株式会社メディヴァ
代表取締役 大石佳能子
大阪府箕面市出身。 幼少時代をニューヨークで過ごす。 大阪大学法学部卒業。 ハーバードMBA。 マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナーを経て、(株)メディヴァを創業。 マッキンゼーではマーケティングと小売業、ヘルスケア部門を担当。 消費者視点での商品・サービスづくりを数多く立ち上げる。 著書に「消費者最優先企業の時代」(共著)、マッキンゼー・クオタリーにマーケティング、ヘルスケア関係の論文多数。 厚生労働省「これからの医業経営の在り方に関する検討会」、厚生労働省「社会保障審議会福祉部会」、日本経済調査会「これからの医療の在り方に関する検討会(大星委員会)」委員。
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医療経済を斬る メディヴァ代表 大石佳能子による連載コラム
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健康診断に対する意識 ―映画「余命」の原作を読んで―

上映中で好評な映画「余命」(主演:松雪泰子)の原作(著者:谷村志穂)を読んだ。「命と愛」がメインテーマで、「乳ガン」がサブテーマになっている。映画の方はまだ観てないのでストーリーは違うかもしれないが、原作のほうでは主人公の女医が結婚10年にして待望の子供を授かる。しかし同時に、完治したと思っていた乳ガンを再発したことに気づく。治療を選ぶか、子供を選ぶかの選択を迫られるが、結局主人公は子供を産むことを選び、無事に出産した後、死亡する。夫婦愛や子供への希望にあふれた作品で、涙を誘うものだったが、釈然としない点もあった。

主人公は乳ガン歴があり右胸を切除している。その後10年以上無事で、ガンは克服したと思っていた。妊娠後に偶然自分の体の異変に気づき、その時にはすでに切除した胸に触って分かる程のシコリがあった。「最近3年は検査もしていなかった」と後悔する。もちろんフィクションであるから、ストーリーの運び上こういう設定にするしかなかったのだろうが、何故3年間も検査をせずにほっておいたのか、、。

メディヴァで運営を手伝っているクリニックに、イーク丸の内という女性専用の高度健診、検査機関がある(http://www.ihc.or.jp/)。昨年のお盆休み中、予約電話を当社に転送し、受付をやったことがあった。場所がら外国人の受診者も多く、日本語がしゃべれないと私に転送される。インド系だろうか、随分と聞き取りにくい方がいた。乳ガン健診、検査の予約時にこちらから必ず「何故受診されるのですか?自覚症状はおありですか?」と聞くことになっているのだが、かなり強い訛りで「毎年受けているから、今年もまた受けます。当たり前でしょう」という返事が返ってきた。

一方、若い日本人の女性の検査申し込みを受けたことがあった。「1年ほど前にぃ、健康診断で引っかかってぇ、精密検査って言われたんですけどぉ、忙しいからほっといたらぁ、お乳の先から血が出てるんですぅ。これって検査したほうがいいですかぁ。」こちらが仰天して、休み明けの一番に無理に予約枠を空けたら「その日は出かけなくちゃいけなくてぇ~、もうちょっと先の予約はむりですかぁ」と言われた。

これも極端なケースであろうが、概して日本人は「自分の健康は自分で守らなくちゃ」という意識が低いようである。よく言われることであるが、これも国民皆保険の弊害だろうか。乳がんは早期発見が可能ながんであるのにも関わらず、健診率はOECDで最下位である。

「余命」に関連して、またもう一つ気になるのは、「医者の不養生」である。統計的にとったことはないが、私の知る限り「医師」はもっとも健診受診率が低い職種である。以前、医科大系の健康保険組合を訪問した時、100%の実施が義務づけられている職場定期健康診断すら、4分の1程度の受診率だったことに驚いた。他の業種ではこのような低い受診率は聞いたことがない。

「忙しい」、「自分のカラダのことは自分で診断する」、「職場で受診するのはプライバイシーがない」等々の理由は分かるが、本当にこれでいいのだろうか。これも感覚で言っているのだが、かなり若くして急死する医師も多い気がする。「余命」の主人公も、乳がんの治療を諦め、メスを置いて病院を去った。自分が病気になってしまえば、患者を救うことはできないのだ。医師というのは多大なストレスが掛かる仕事だと思う。医師こそ、きちんと健診を受けて、自分のカラダを大切にして、患者さんの模範となってほしい。

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