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Profile
株式会社メディヴァ
代表取締役 大石佳能子
大阪府箕面市出身。 幼少時代をニューヨークで過ごす。 大阪大学法学部卒業。 ハーバードMBA。 マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナーを経て、(株)メディヴァを創業。 マッキンゼーではマーケティングと小売業、ヘルスケア部門を担当。 消費者視点での商品・サービスづくりを数多く立ち上げる。 著書に「消費者最優先企業の時代」(共著)、マッキンゼー・クオタリーにマーケティング、ヘルスケア関係の論文多数。 厚生労働省「これからの医業経営の在り方に関する検討会」、厚生労働省「社会保障審議会福祉部会」、日本経済調査会「これからの医療の在り方に関する検討会(大星委員会)」委員。
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医療経済を斬る メディヴァ代表 大石佳能子による連載コラム
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「家庭医」をベースに多角化:田園調布ファミリークリニック

少子高齢化社会の多様な暮らしを支えるコミュニティ資源としての「注目」医療サービス(13)

 田園調布ファミリークリニックは、東急東横線、田園調布駅前徒歩1分の好立地に位置する。院長の梅沢義裕先生は、元々脳神経外科の出身で中規模の病院で勤務として院長を勤めていたが、平成15年に長年の夢であった「家庭医」としての開業を果たした。「他の選択肢としては、八丈島に渡るというのもあって、真剣に検討した」と梅沢先生は笑いながら語る。「でも結局、田園調布の街並、雰囲気に引かれた」そうである。

 クリニックの内装は、田園調布の街並に合わせた上品なものとなっているが、梅沢先生の工夫が随所に現れている。「大人向けの待合室」と「子供向けの待合室」は分かれており、大人は子供の声に悩まされずに待つことが出来る。「大人向けの待合室」の中には小さなガーデンがあり、ピアノが置かれ、田園調布の洋館に通されたような気分になる。

 「子供向けの待合室」からは、「子供用の小さな扉」を通って「子供用の診察室」に入る。隣に「大人用の扉」もあり、診察室に入ることが子供にとって苦痛ではなく、ワクワク感が持てるように工夫されている。「大人用の診察室」は書斎のような作りになっていて、患者は緊張せずに診察を受けることが出来、婦人科を受診する患者はそこを通って更に婦人科の診察室に通されるのでプライバシーが守られる。クリニック全体が、梅沢先生の診療に掛ける夢と患者への配慮を感じ取れる作りとなっている。

 「家庭医」は、欧米では科目として認められている。定義としては「内科、小児科、婦人科などのように、その科しか診ないという専門分野に分かれた診療ではなく、総合的に診療、診察を行う。「家庭医とは、『あなたとあなたの家族』を専門にしている医師」であり、欧米では科目別の専門医に掛かる前に、家庭医に相談し、そこから適切な紹介を受けるシステムとなっている。

 日本の場合、「家庭医」という科目は存在しないため、田園調布ファミリークリニックも、内科、小児科、婦人科、皮膚科、外科、神経内科、脳神経外科、アレルギー科と幅広く標榜している。幅広く診療するスキルを身につけるため、梅沢先生は開業前に約2年間を費やして、各科目の研修を積んだ。その経験を活かして、今では、「家族まるごとのかかりつけ医」として、近隣住民の信頼を得ている。患者のニーズがあれば24時間体制で対応もする、という昔ながらの「赤ひげ」先生的側面も持っており、患者さんに与える安心感は極めて高い。

 梅沢先生は、「家庭医」の役割として、「病気の時の診療・治療」だけではなく、「患者の困りごと」の解決まで広く考えている。病児保育、栄養指導、フィットネス、美容皮膚科などを手がけ、患者の元気にはつらつとした暮らし作りを支援している。

 病児保育は、大田区の助成金を受け、開業当初からクリニックに併設して開設した。働く両親にとっては、子供が病気であることは大きな「困りごと」である。定員は4名で、保育士、看護師などの資格を持つ2名のスタッフがおり、梅沢先生も何かあればすぐ顔を出すことが出来る。病児保育の値段も、1時間につき1100円とベビーシッターを頼むのと比べても割安である。また、大田区民は更に割安な金額で利用することもできる。

 栄養指導は、外部から管理栄養士の派遣を受けて、日程を決めて予約を受け付けている。相談の内容は大きく分けると、アトピー等の子供の食育相談と生活習慣病にまつわる相談である。若いお母さん等が食事に対する知識が不足している場合や自信が持てない場合、自費診療となるが来院して相談を受けることが出来る。生活習慣病の患者に対しては、食事に関する「知識」が不足しているのか、「関心」が不足しているのか、もしくは「知識」も「関心」もあるが、生活を「コントロールできない」状況にあるのかによって指導方法、内容を変えている。いずれの場合も、出来る限り患者の言うことを傾聴し、「出来ていない」ことを責めるのではなく、励ます形の指導を心がけている。

 フィットネスは、主として「病気ではないけど、なんとなく体調が悪い」という人に対応している。クリニックの近所に「Dr.フィジオ・スタジオ」として専用のスペースを借り、フィジカル・セラピスト(理学療法士)やトレーナーが個人別のメニューを作成する。産前・産後の肩こりや腰痛、尿失禁、閉経後の骨粗鬆症などの悩みを改善するためのエクササイズを得意とし、スタジオを貸し切ってプライベートレッスンを受けることも出来る。例えば、肩こりと頭痛に悩んでいる患者に対しは首を伸ばしたり、腕を上げたりするセルフ・エクササイズや、簡単な器具を使ったエクササイズを実施し、全身状態を整える。出産によって腰痛を持つ患者に対しては、腹横筋と呼吸を意識しながら体幹部分(骨盤周辺、腹筋、背筋等)を中心に鍛え、体のバランスを整えるピラティスのプログラムを提供する。プライベートレッスンの料金は1時間6〜8000円である。

 美容皮膚科としては、レーザー等の機器を使うのではなく、ケミカルピーリングやイオン導入等の優しいメニューを揃えている。適応症状は、肌のくすみやしわ・シミの除去である。まず超音波で皮膚を活性させてから、ピーリング、イオン導入を行い、ビタミンCの濃いものを皮膚の奥に入れる。梅沢先生が肌の状態を診断し、適切なピーリングを処方するので安心感が高い。

 上記のとおり、田園調布ファミリークリニックは患者の「困りごと」を既存の治療の枠に捕われずに解決することを目指している。今後、梅沢先生として特に力を注いで行きたいのは、「女性向けの総合的な健康管理」だそうだ。現在も婦人科の健康診断を手がけているが、卵巣がん等本人が予測もしてなかった重病が見つかるケースも多々あり、女性が気軽に訪れることができる家庭医の重要性を痛感しているとのことである。現在は超音波で乳がんを検査しているが今後マンモグラフィーに投資し、女性の放射線技師を採用し、より充実したメニューを整備することも検討している。

 平成20年度には主婦に対しても、健康診断や保健指導の義務化が予定されているが、気軽に婦人科、乳がんも含めた総合的な健康診断が受診でき、必要であれば栄養指導、運動指導も受けられる田園調布ファミリークリニックは、今後益々地域の住民にとって欠かすことが出来ない存在となると思われる。
 
 

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