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★ 少子高齢化社会の多様な暮らしを支えるコミュニティ資源としての「注目」医療サービス
北青山Dクリニック
北青山Dクリニックのホームページを覗くと、医師の層の厚さに驚かされる。院長の阿保医師は東京大学の医学部を出て、虎ノ門病院等を経て2000年に開業した。他の医師も、東大や慶応大学卒の脳外科、循環器内科、消化器内科、皮膚科等々の蒼々たるメンバーである。多くのクリニックが医師一人で診察していることを鑑みると、「これは本当にクリニックか?」と、うなってしまう。
阿保院長は、初めから医者になるつもりではなく、高校卒業後早稲田大学の理工学部に入り、祖母を胃癌で亡くした経験を経て生涯の仕事として医学を選び直したという経歴の持ち主である。小学校時代からずっとスポーツに打ち込み、高校時代はバスケットボールで国体選手に選ばれるほどであったという。今でもバスケットは続けていて、クリニックのメンバーの医師たちも多くはスポーツを通して信頼関係を築いた後輩達だそうだ。いかにもスポーツマンらしい真面目さと明るさを持っていて、患者さんも、後輩の医師も、スタッフも魅了される。
北青山Dクリニックの「D」は、Day Surgery(日帰り手術)、 Daily Healthcare(予防医学)、Dermatology(美容皮膚)の3つの「D」から取っている。この3つの分野において、「日常的に気軽に相談でき、かつ質の高い最新医療行為を受診出来る」ことが北青山Dクリニックのコンセプトだ。
Day Surgery(日帰り手術)とは、入院を要しない手術のことで、アメリカでは一般的に行われている。入院することにより発生する患者さんへのコスト負担、時間的負担を減らすことが目的で、高機能の検査、施術機器と確立された技術があれば、かなり高度な医療行為を日帰りで、しかもクリニックにおいて行うことも可能である。北青山Dクリニックが実施している日帰り手術には、下肢静脈瘤、鼠径ヘルニア、乳腺腫瘍、内痔核、早期胃ガン、食道ガン、大腸ガンなどがあり、幅広い。
日帰り手術のなかでも特に力を入れているのは、下肢静脈瘤の手術で、今までに1000脚以上の実績をもつ。下肢静脈瘤とは、脚に血管が浮き出て、瘤のようなものが出来た状態で、脚の静脈血が逆流することにより発症する症状であり、30代以上の女性の10〜30%に見られる。引力に逆らって心臓に戻る静脈血を押し上げているのは筋肉や血管内の弁であるが、その弁が何らかの理由で壊れてしまうと血液が逆流し、下に溜まり、血管が膨れた結果浮き上がって見えるというものである。自然に治ることはないが、見た目の悪さ以外、実害は多くないが、むくみ、だるさ、こむら返り、エコノミークラス症候群に繋がることもある。
下肢静脈瘤に対し、血管外科で実施している手術は「ストリッピング」と言われ、逆流を起こしている血管を脚の付け根から引き抜く。北青山Dクリニックでは、日帰りでのストリッピング手術を日本国内で初めて確立した。また、体への負担が少なく手術痕も小さいレーザーを用いた手術も実施している。通常であれば一週間くらいの入院を余儀なくされるのであるが、北青山Dクリニックの場合は、その日に歩いて帰ることも可能である。
Daily Healthcare(予防医学)のコンセプトに基づいて、北青山Dクリニックでは高度な人間ドックやアンチエージングに取組んでいる。病気を治す前に発生させない、発生しても早期に発見し治療するという考え方である。
一般的に人間ドックの一つの課題として、検査を受けて「異常なし」とされたにも関わらす、まもなく進行ガンが見つかったケースなどが上げられている。一般的にガンがあるのに健康診断で「異常なし」とされるケースは胃ガン検診で10〜40%、大腸ガン検診で20〜30%らしいが、これは精密検査を実施できないことの限界でもある。同院の総合ドックは精密検査をドック項目に入れたり、オプション化することにより「見逃し」を防ぐ努力を行っている。総合ドックの費用は84,000円であるが、乳腺超音波、婦人科検査、大腸ファイバー、MRI・MRA、胸部CT、負荷心電図等の検査はオプションとなる。
また、同院では、アンチエージング(抗加齢医療)にも取組んでおり、老化度ドックを実施している。老化度ドックでは、対象者の老化度を客観的に測るために①年齢とともに減少していくホルモン量、②年齢に応じた生理的状態(血管の硬化度、血管壁の厚さ、呼吸機能、骨密度)、③活性酸素による細胞障害度合い、を測定し暦上の年齢ではなく、実際の体力年齢、健康年齢、細胞年齢を測る。ドックの費用は84,000円である。ドックの結果を受けて、遺伝子、環境、ホルモン、活性酸素の加齢原因のうち、科学的に対応可能なものについて療法を提供する。具体的にはサプリメント療法、キレーション療法、HGH療法等になるが、例えばサプリメント療法では、DHEA(副腎から作られるホルモン)、メラトニン、CoQ10m、各種ビタミン、イチョウ葉などを勧める。
Dermatology(美容皮膚)では、シワ取り、若返り、脱毛、レーザー治療、ピーリング等の美容皮膚科における一般的な施術を実施しているが、無理な施術や医学的に確立していない施術により発生するトラブルを防ぐために、皮膚科、血管外科、形成外科の医師が連携して治療に当たっている。
北青山Dクリニックの医師団、コンセプト、提供医療内容は一見一部の限られた人たちを対象とした高級会員制クリニックのように感じられるかもしれない。しかし、実際は全くその逆で、そこが同院の隠れた魅力かもしれない。場所は、外苑前の駅から歩いて5分程度のおしゃれな店が並ぶ通りの奥にある。しかしながら、実際、北青山Dクリニックが入っているビルはこじんまりとして、けしておしゃれではなく、普通の都内のビル診という感じだ。外来で待っている患者さんには近所のおじいちゃん、おばあちゃんも混ざっていて、普通の診療所と全く変わりない。待合室の長椅子で寝ている患者さんも居る。
阿保院長ご自身も「自分がやっているのは地域医療だ」とおっしゃっていた。明らかに手狭になっているクリニックの引っ越し可能性について問うと、「引っ越して拡充したいが、遠くには引っ越せない。ここの近隣の患者さんが居るから」ということであった。北青山Dクリニックはコンセプトどおり「日常的に気軽に相談でき、かつ質の高い最新医療行為を受診出来る」クリニックであり、新しい形の地域医療を実践していると、感じた。
★掲載 月間シニアビジネスマーケット2006年8月号
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