|
医師の数は、一県一医大政策の影響もあり、1980年当たりから大幅な増加を
見せている。1980年には約15万6000人だったのが、2000年には25万6000人と
なり、この間64%も増加している。医学部の定員が大幅に増えた80年代の卒
業生が40代を迎えている。
医師は年齢を重ねるごとに大学付属病院から一般病院へ、一般病院から院外
へ移っていく。1996年から2000年の間では統計に基づいて計算すると、
1万2000人が異動し、そのうち9000人が診療所院長に、3000人が診療所の勤
務医になった換算である。診療所の総数が約9万であるため、少なくとも1割
が若返っているのである。
この流出入は、今後の医療改革により病院の機能分化・病床の削減が行われ
ることにより促進されると予測される。病床数は1990年をピークに10年間で
約5%減少した。海外の人口対比の病床数と比較すると、今後10年程度で30
~50%減少する可能性もある。仮に30%だとするとさらに4万6000人が開業
することとなり、診療所の数は最大現在の50%増加する。
では、診療所を開設するに適した立地は、そんな多く存在するのだろうか?
例えば新規の内科開業医を成り立たせるのに必要な一日40人の患者がある程
度容易に集まるには、商圏内に1万人の、ある程度高齢化した背景人口がい
なくてはならない。当社ではマクロレベルから落とし込んだ立地調査を行っ
ているが、それだけの人口を抱え、競争がさほど厳しくないところというと、
例えば世田谷等の人気地域では3箇所しかない。全国レベルでは、内科の診
療所は6万箇所で飽和するが、すでに既存の内科診療所は2000年で6万箇所を
越えており、理論的には飽和状態に達していることとなる。
このように書くと、いかにも開業が厳しく、病院に残ったほうが有利なよう
に一瞬思えるが、実際は病院も赤字転落病院が相次ぐ中、医療者にも収益責
任が求められたり、人件費がコストカットの対象となったり、人員が削減さ
れたりと、極めて厳しい状況に陥っている。また、診療所経営もマクロ的に
は厳しいが、これは「患者さんが選ぶ時代」の到来とともに、優勝劣敗がは
っきりしてきたことに過ぎない。
ただいずれにしても、従来型の「保険点数を横目でにらみながら、己の信じ
る医療を実直に行う」だけでは医療者のキャリアは務まらなくなったことだ
けは確かである。病院においても診療所においても、医療者は医療のプロで
あるだけでなく、医療経営のプロであることが求められている。今回、私ど
もが発刊させて頂いているメールマガジンでは、医療者が医療経営のプロに
なろうと思ったときに、ヒントになるような事例や手法、考え方を少しでも
お伝えできたらと願っている。
( 代表取締役 大石佳能子 )
|