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Profile
株式会社メディヴァ
取締役 コンサルティング事業部長
小松大介
神奈川県出身。 東京大学教養学部大学院修了。 広域システム専攻。 人工知能やカオスの分野を手がける。 マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントを経て、(株)メディヴァを創業。 マッキンゼー時代には、データベース・マーケティングとビジネス・プロセス・リデザインを専門としていた。 「医療の情報化」をテーマに、医療変革を目指す。 現在、新規開業支援、病院コンサルティング部門のリーダーをつとめる。
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医療機関経営の日記 コンサルタントとして日々直面する病院・クリニック経営の課題に迫ります
« 第16回 機器、薬品の価格の不可思議さ | メイン | 第18回 病院経営再生の現場報告(後編) » 2008年11月01日
第17回 病院経営再生の現場報告(前編)

今回から、私自身がここ数年で経験してきた医療機関の経営再生の現場事例を
取り上げたいと思います。今回は、ある高級人間ドック専門のクリニックのお話
になります。

 このクリニックのお話が来たのは、1年半以上前のことです。金融機関から、
開業2年目で営業不振で苦しんでいる医療機関があると聞いて、財務や臨床の基
本的な情報を収集するとともに、経営幹部(院長、事務長)へのヒアリングを実
施いたしました。その結果、都心の一等地にあるため家賃が高いこと、また華美
な内装や高度な検査機器を先行投資したため借入負担が大きく重たい(なんとそ
の当時の売上の4倍!)こと、そして何よりも開業した当初から人員体制をフル
に揃えていたため人件費負担が重いことなどがわかりました。その一方で、院長
始めその医療機関が持っている専門性(乳腺・婦人科)については、一定以上の
品質があって、受診をした多くの患者さんが満足し再来院していることもわかり
ました。

 そして、経営不振になったもっとも大きな原因は、経営体制の不在であり、戦
略的な営業・マーケティングの実行やコスト管理などが、いずれも中途半端に
なってしまっている現状でした。そこで我々としては、経営体制の整備を行い、
営業を強化することによってこの医療機関は再生できると判断をし、引き受けて
いただける医療法人と相談をした上で、事業譲渡を決定しました。金融機関やそ
のクリニックの所有者であった医療法人との交渉の結果、事業譲渡のスキームが
決まり、バランスシートの改善(債務超過の解消)をしたところで、新しい医療
法人に経営を引き継いでもらい、我々は引き続き運営支援に入らせていただくこ
ととなりました。

 さて、いざ運営支援に入って一番びっくりしたこと、それは管理不在と従業員
のモラルハザードです。例えば受付は、自分たちが忙しくなるという理由によっ
て損益分岐点の半分の患者数で予約を絞り、多少でも患者さんが受付の意図と違
う希望を伝えると「それでしたら予約は無理ですね。」と言って電話を切ってし
まう始末です。看護師さんや技師さんの中にも、自分たちが勝手に決めた手順を
かたくなに守り、そのため患者さんを待たせようが、全体が遅れようが、我関せ
ずという感じです。また、そうした業務をしていながら、今回、事業譲渡がされ
る中で、「これ以上忙しくなるのは嫌だ」「その業務はできない。なぜな
ら、、」といったいいわけめいた話がありとあらゆる場で発言されていて、当社
から送り込んだ事務長も怒りをとおりこしてあきれるしかありませんでした。。。

 事業を譲渡した日から、そうこうしているうちにも、赤字は広がっていきま
す。当然キャッシュフローも目減りする一方でしたので、緊急課題であった営
業・マーケティングの強化とあわせて、現場の体制・意識・業務の改善が必須と
なり、我々も当初想定以上の人数を送り込んで、あらゆる面で経営改善に取り組
むこととなりました。

 従業員を変えるために最初に取り組んだこと、それは極めて当り前な、経営状
況の開示と具体的な目標の設定、そして一人一人との面談と掃除(片付け)で
す。採算があう患者数でさえわからない状況でしたから、現在の売上、固定費、
そして採算が合う患者数の考え方を週に1回の会議と資料で共有化し、同時に必
要な患者数の見込みとそれに向けての具体的なプロセスを示しました。その実現
に向けての具体的な課題(システムの問題、業務の問題、人手の問題、動線の問
題)については、スタッフをチームに分けて、当社のスタッフをコーディネー
ターとして一人ずつ参加させ、具体的な課題と解決策を議論しあげてもらうよう
にしました。当社のスタッフには、"とにかく毎回ひとつは目に見える成果をあ
げること"、"できないと言われたら、なぜできないかをとことん議論し、本当に
できない理由をあきらかにすること"を強く意識してもらい、チームのやる気を
引き出すように尽力しました。また課題を、お金のかかること(情報システム、
動線、医療機器)、お金のかからないこと(業務手順、業者との交渉、接遇改
善)に仕分けし、お金のかからないことはできる限りすぐに着手し、お金のかか
ることは時間軸で年間を通じて改善することとしました。こうした取り組みの甲
斐あって、1か月目から効果が出始め、半年後には業務の改善は進み、患者さん
への応対は飛躍的に改善し、予約も本当のぎりぎりを常に探って取るようになっ
てきました。

                              (以下 次号に続く)

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