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多くの医療機関に関わり、色々な立場の方にお会いしていますが、院長という仕事ほど難しくて悩みの多い仕事は無いなあと感じることが多いです。普通の企業でいう社長は、組織の長であり、かつ自分の時間の使い方や能力を発揮する場をある程度コントロールすることが可能です。例えば、管理畑の社長であれば経営データを押さえて勘所を探り目標設定をすることを主たる業務とし、職人肌の社長であれば逆に管理のできるスタッフを雇って自分は日々の業務改善や新商品のアイデアだしなどに時間を割くことができます。
ところが、院長という仕事は、医師の少なさや経営の厳しさなどもあって、多くの場合、次のような役割を全てこなしていることが多いです。
・一医師としての診察や手術
・病院の最終意志決定者(投資、採用、戦略など)
・医師という職業人の調整役
・看護師、コメディカルという職業人の管理
・経営企画室としての分析や対外交渉
・トラブル処理
つまり、週に何回かの外来や回診(入院患者診察)、手術をしつつ、毎週のように行われる各種会議(経営会議、リスクマネジメント委員会、感染症委員会等)に出て、実際に現場を動かすためにそれぞれが個人事業主的な医師間の根回しや調整をし、更に看護師やコメディカルからの要望や苦情に対応し、問題がおこると真っ先に謝る。忙しくて優秀な院長の仕事はこんな感じかなと思っています。
正直、仕事をほとんど選べないのだと思います。中には職業人として現場に多くの時間を割く院長がいますが、その場合、組織がうまく動いていないことが多いです。逆に、あまり見かけませんが管理中心にしている院長だと、現場をリアルタイムで動かすことができず、経営と現場が離れてしまっているように思います。バランスをとりながら上手く経営されている院長ほど、あらゆること(医師としての技術、多くの職業プロを調整する人格、経営の判断・意思決定を行う戦略力)に精通しており、そのような方に出会えると、その多忙ぶりと見識の深さに本当に恐れいってしまいます。
今、病院の経営は難しい時代に入ってきたと思います。こんな時代だからこそ、本当の意味での院長が求められているのだと思います。でも、院長になる、なろうとした医師が学ぶための機会や材料は大変限られてしまっているように思います。これだけ難しい職業をこなせる人は、一体どれだけいるのでしょうか。普通の社長のように、社長とサポートのスタッフが役割分担ができるといいのですが、現在の病院経営ではまだまだ確立された組織のあり方を見かけることができません。そのあたりがまだまだ病院経営の難しさだなと思っています。
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