Platanus PPM Physician Practice Management 医療機関の皆様へ。メールで簡単ご予約・ご相談。経営にお悩みのことがあれば無料でご相談にお乗りいたします。
returns to a Home. 新規開業支援 営業支援 病院コンサルティング アウトソーシング 事例研究 人材募集
Profile
株式会社メディヴァ
取締役 コンサルティング事業部長
小松大介
神奈川県出身。 東京大学教養学部大学院修了。 広域システム専攻。 人工知能やカオスの分野を手がける。 マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントを経て、(株)メディヴァを創業。 マッキンゼー時代には、データベース・マーケティングとビジネス・プロセス・リデザインを専門としていた。 「医療の情報化」をテーマに、医療変革を目指す。 現在、新規開業支援、病院コンサルティング部門のリーダーをつとめる。
RSSとは?
医療業界でも徐々に普及してきました。便利なRSSの使い方、分かりやすく説明します。
RSS
医療機関経営の日記 コンサルタントとして日々直面する病院・クリニック経営の課題に迫ります
« 第9回 待合室で感じること | メイン | 第11回 オープニングスタッフ » 2006年08月18日
第10回 自治体病院の使命と国の政策

 最近、自治体病院の基本構想や経営評価、業務サポートといった仕事が増えてきています。自治体病院には民間病院とは異なる考え方や経営体制があり、更に自治体ごとの考え方も異なるので、いろいろと勉強になりますが、少しふに落ちない点があります。それは、自治体病院の使命と国の政策についてです。

 少し説明から入りますが、多くの自治体病院は赤字決算を計上しています。しかもその赤字は、一定の税金が一般会計として売上に計上された後での赤字です。つまり、自治体本体からの援助がなければ、経営としては成り立ち得ないというのが現状です。これだけならばよく言われていることですし、また、その原因として自治体病院には民間病院が担えない使命があり、過疎地医療、産婦人科や小児科、救急医療、生活保護者の支援のことですが、それによって経営的に成り立ち得ないのは仕方がないとも考えられています。

 この話、間違いなく正しい論であり、確かに僕らも自治体病院のコンサルティングをする際には、上記の使命にかかる費用(ミッションコスト)を定義することから始めることも多いです。また、ある自治体病院では産婦人科をやめようとしたら住民・議会の猛反発を受けて、高額で新たな産婦人科医を招聘したというような話もあります。自治体病院が担う使命を突き詰めていった結果、ある程度の税金投入はやむを得ないということが常識だと思います。

 しかし、本当に使命だから仕方ないということでいいのでしょうか。

 実は、ここが私がコンサルティングをしていてもなかなか割り切れず、悩んでしまっている点です。というのも、国の政策と地方の政策や、社会資源(税金など)の最適配分という視点から、矛盾しているように感じる部分があるからです。自治体病院の経営は、大きくは厚生労働省と総務省という2つ省庁の監督のもと成り立っています。厚生労働省は診療報酬を始めとした各種基準や安全性などを所管し、総務省は地方財政の健全化や社会資源の最適な再配分という視点で所管しています。この結果、”厚生労働省が政策的な意図をもっておこなった診療報酬の削減や基準変更に対して、病院の経営が変化した場合、自治体と自治体財政(総務省の政策)がその影響を受ける”という事態が発生します。もう少しわかりやすい例で言うと、”厚生労働省が医療費削減の目標によって削減した診療報酬のあおりを受けて、自治体病院は更に赤字になり、結局、その補填を税金でまかなっている”という構図が浮かび上がってきます。

 何か変なのです。確かに、国の政策は国全体を考えての判断をしているわけで、地方ごとの事情を考慮して政策決定をすることは難しいと思います。また、地方の政策は、国の大きな政策の流れを受けて、それを地方の事情に応じてアレンジすることが含まれていると思います。とはいえ、、、これでは、医療費が減っても税金で負担するということになり、なんとなく国全体の社会コストは変わらないように思えてきます。それならいっそ、国が社会的使命のある医療を定義して診療報酬を弾力的に考え、自治体病院への税金投入は理由が明確なものに変えるということができないのかなと思ってしまいます。

 確かに、現在の自治体病院の経営そのものにも問題がないとはいえません。病院によって事情はことなりますが、スタッフの高齢化・人件費の増加、業務の非効率、経営ガバナンスのあいまいさ、割高な購買コストなど個別に改善すべき項目は見受けられます。その結果、使命とは無関係に費用が高くなってしまっていることもあります。また、過疎地などでは、何をどうひっくり返しても黒字にならない面もあります(ただし、診療報酬にも地域加算という項目があり、若干は過疎地優遇がされています)。ただ、私が考えているのは、これらを考慮していったときに、自治体病院の本来はたすべき使命とそれを負担する財源といった答えがほしい議論に対して、明確な答えを出しにくい構造になっているという点です。

 医療費削減という旗印は、持続的な社会を構築する上で必須であることは理解しています。でも、それを達成しても、他に負担がかかってしまうようでは意味がないように思います。とはいえ、明日から自治体病院への診療報酬だけ手厚くするとか、税金の投入方法を考え直すなどは難しいことでもあります。ただ、自治体病院の経営を見ていくときには、このテーマを考えざるを得ず、常に頭を悩ましています。
 

Produced by Mediva
Powered by Platanus Network
Copyright (C) Mediva Inc. All Rights Reserved.