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Profile
株式会社メディヴァ
取締役 コンサルティング事業部長
小松大介
神奈川県出身。 東京大学教養学部大学院修了。 広域システム専攻。 人工知能やカオスの分野を手がける。 マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントを経て、(株)メディヴァを創業。 マッキンゼー時代には、データベース・マーケティングとビジネス・プロセス・リデザインを専門としていた。 「医療の情報化」をテーマに、医療変革を目指す。 現在、新規開業支援、病院コンサルティング部門のリーダーをつとめる。
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医療機関経営の日記 コンサルタントとして日々直面する病院・クリニック経営の課題に迫ります
« 第4回 クリニックが置かれている環境の変化 #2 | メイン | 第6回 クリニック内覧会・内装引渡し報告 » 2006年03月30日
第5回 診療報酬の改正にあたって

 介護保険に続き、診療報酬の制度改正が明らかになりました。厚生労働省からの発表や制度改正の詳細は、白本を始め、様々な媒体で掲載・紹介されていますので、紹介は差し控えます。むしろ、今回の改正を通じて、今後数年間で厚生労働省が何を目的としていて、どこへ向かおうとしているのか、私なりに考察してみました。

 ・施設ケアから在宅ケアへ
 既に様々なところで言われていることですが、療養病床の入院基本料や在宅療養支援診療所の新設、介護保険のホテルコストまた療養病床廃止論などで、保険制度で支える施設は必ず減ることになると思われます。しかし、寝たきりの患者さん・利用者さんが減るわけではないので、受入れはご自宅か個人負担による有料老人ホームにならざるをえません。在宅医療・在宅介護を支える仕組みは、ますます重要になると考えられますが、同時に年金負担内でまかなうことのできるコスト構造の構築が不可欠です。今後の若年層の減少も考えると、既存の民家を改修する小規模多機能施設などのような低コスト・自立型の施設で高齢者同士の自活を促すか、海外等から若い労働力を引き受ける社会になっていくのではないかと思われます。我々の世代から見ると、死ぬまで自活する力を求められる厳しい世界なのかもしれません。

 ・重点領域と非重点領域の線引き
 リハビリは、施設基準の見直しにより、発症後一定期間以上の施術が認められなくなりました。また、透析や各種画像診断も大幅な下げになっています。一方で、在宅療養支援診療所に代表される、在宅診療への手厚い点数は際立っています。前回や前々回での差のつけ方以上に、今回は重点領域と非重点領域に大きく差がついています。おそらく今後も医療費拡大を抑えるためには、このような制度設計の流れは維持されると思います。ただし、経済合理性やマクロな統計で判断し、1か0かで判断を進めてしまうと、ひずみがでてくる可能性があります。今後、重点と非重点領域の線引きについては、微修正や例外を出さざるをえなくなると思われます。点数はより複雑になってしまうのではないかと危惧しています。
 
・医薬品の選択自由度の拡大
 後発医薬品の選定が、患者さんや薬局にも一部委ねられるようになりました。先発品と後発品の効き目においてはまだ差があるとも言われていることを考えると、今後の混乱は避けられないと思います。しかしながら、大きな流れは薬の選択権を患者さんにも渡していく方向を向いているようであり、このまま行くと、一部の薬(風邪、軽度な生活習慣病のコントロール)については、OTC化が拡大する可能性は十分にありえると思います。結果として、医療機関の1日あたり患者数は一部で減少する可能性がありますし、患者さん側は自己の責任において、より高度な薬選択が可能となることになりそうです。

 ・患者・医療者の情報共有の拡大
 領収書・明細書の提供は始まりに過ぎず、そう遠くないうちに、カルテ・レセプトなどの全ての情報について、患者さんと医療者が共有する時代が来ることになりそうです。だからといって、これで関係が患者・医療者間の関係が悪化するとは考えにくいです。確かに、導入当初は、見たこともない情報を見て、患者さんから過度な反応があることが予想されますし、一部のミスが鬼の首を取ったかのように取り上げられる可能性はあります。しかし、私が支援しているクリニックで約5年間カルテ開示をしてきた状況を見ると、最初の混乱はあくまで最初だけであって、じきに患者さんは知識をつけ冷静に判断し、医療者は患者さんに判断を求めることをあらかじめ確認するような形になっているように見受けられます。結果として、今まで以上に高度で深い患者・医療者関係が構築できるのではないでしょうか。またそうあってほしいと考えています。

 医療は、高齢者増加に伴う医療費増大という側面と、増え続ける患者数に下げ続ける診療単価で支える現場、一方で一人一人の患者さんの要望は増加するという厳しい状況を迎えています。構造的な変化が求められており、今回の制度改正は厚生労働省としての一つの答えなのだと思います。しかし、実際に変化を味わった現場(患者さんと医療者)がどのような行動を起こしどのように変わっていくのかは、まだまだ予測しかねることが多く当面は大変な状況が続くことが予想されます。

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