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連載コラム
Profile
株式会社ケアレビュー
代表取締役 加藤良平
1964年10月愛知県出身。1987年一橋大学経済学部卒業。大手都市銀行の営業企画部門で収益計画や業績評価、マーケティングマネジメント改革を担当。その後ITベンチャー企業のCFO、上場企業や大手医療法人の経営企画責任者を歴任。
各国の医療制度や病院経営に関する研究を進める中で、利用者の視点に基づく医療界の変革に大きな社会的意義を見出し、2004年11月に株式会社ケアレビューを設立。
http://www.carereview.co.jp
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第7回 The American Healthcare Dream

私が以前勤務していた医療法人では、米国での研修プログラムを毎年開催していました。派遣されるのは医師、看護師、コメディカル、事務部門を問わず経営への参画が求められる幹部職員で、はじめにハワイで2週間ほどの入門研修を受け、その後各自のテーマに沿って米国各地の病院や企業などに派遣されて2ヶ月程度のトレーニングを積むというユニークなプログラムです。
私も数年前にこの研修に参加させていただき、米国の医療制度や病院経営の光と影の部分を目の当たりにするとともに、日本の医療界や病院の目指すべき方向をじっくりと考える非常に貴重な経験をさせていただきました。ケアレビューという会社を起業して、日本の医療や病院経営の質を高めるための取組みを始めのも、このときの経験が大きな影響を与えています。

今回は米国研修中にもっとも印象に残った話を紹介したいと思います。それはハワイ大学医学部の教授が話してくれた言葉です。

◆◇◆

そのドクターは言いました。
「アメリカンドリームという言葉を知っているかい?アメリカ人はみんなこの言葉が大好きなのだけれど、僕たちヘルスケア関係者にもアメリカンドリームがあるんだよ。」

彼の説明によると、アメリカの医療界には3つの目標があるということです。
1. Highest Quality & Best Outcomes
2. Affordable (Cheap or Free)
3. Universally Available (Access)
すなわち、・・・<最高の質と治療成績>を<安価な治療費>で<アクセス>を制限せずに提供する・・・ということを、アメリカの医療者は目指しているのですが、彼の説明はさらに続きます。

「3つの目標のうち2つを同時に達成することは容易だけれども、3つの目標すべてを同時に実現することは限りなく不可能なのだよ。だからこそ“アメリカンドリーム”だと言われているんだ。」

私はこのとてもシンプルな公式の奥の深さにすっかり感動してしまい、それ以来「自分もアメリカンドリームに挑戦したい!」と考え始めたのです。

◆◇◆

皆さんもご存知の通り、アメリカの医療制度は日本とはまったく異なります。自由主義を重んじる米国では社会保障という考え方が不十分で、<アクセス>を犠牲にしたHMOなどのマネジドケアや、<安価な治療費>を犠牲にした高額な富裕層向けの民間保険が中心となっています。いずれにしても、アメリカが世界に誇る<最高の質と治療成績>は、<アクセス>や<治療費>を犠牲にして追求されているのだと考えられます。
日本が世界に誇る『国民皆保険制度』はどうなのでしょうか?たしかにアメリカとは異なり、<安価な治療費>で<アクセス>も自由であることが保障されています。ただし、アメリカンドリームの公式にあてはめると、もしかすると<最高の質と治療成績>を犠牲にして成り立っているシステムなのかもしれません。

「コストを増やさず、アクセスも制限せず、世界で最高に質の高い医療を受けられる医療システムをつくりたい!」なんて言ったら笑われるでしょうか?普通に考えればほとんど不可能だと思われるような難しいテーマですが、だからこそ挑戦しがいがあると私は思っています。

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