成功した開業の事例紹介
ここでは、成功した開業=“一定以上の患者数を集め、経済的には不安が少なくなった開業”のことを指すという前提にたって、深堀をしていきます。次の項目は、私どもが開業医に対して行ったアンケートの結果に基づいた、レセプトが多い開業医と少ない開業医の間で、統計的に差がでた項目の抜粋になります。
*図:4(成功した開業事例)
これだけでも、かなり違いがあることがわかります。例えば、レセプトが多いクリニックでは、“待合室が広く”、“駐車場が確保されている”ことだったり、“事前に競合などの情報収集をしっかりおこない”、“スタッフの接遇をしっかりと教育”したりしているようです。確かに、私どもが訪問したクリニックでも、待合室を広くしたり駐車場の確保に努めているクリニックでは患者数の受入容量があがり、待ち時間とは関係なく患者数の最大値が伸びる傾向にあります。また、スタッフの対応は、流行り続けるクリニックとそうでなくクリニックでは歴然と異なっていて、患者さん、外部業者にかかわらず、丁寧で相手の立場にたった対応を心がけているクリニックでは、継続的に新しい患者さんが来ているようです。
一方で、“戸建”か“ビル診”かという、そもそもの立地や開業コンセプトにかかわる問題もあります。今のところ、都心や駅前などは開業医過剰の場所が多く、逆に郊外や田舎ではスポットのように医者が足りない場所がたくさんあります。資金の問題はありますが、駅前ばかりに目を向けるのではなく、郊外の立地も検討の余地はありえますので、よく検討する必要がありそうです。
次に、開業に成功したと私どもが考えているクリニックのヒアリング結果を掲載します。それぞれにそれぞれの事情があって、一概にくくるのは難しいですが、共通する患者さんへの意識や経営への意識を感じてもらえたらと思います。
1.Aクリニック
<概要> ・23:30までの夜間透析とCT、カラードップラーエコーの導入
・電子カルテ、DICOMサーバーで完全電子化を行い、カルテ開示も実施
・透析は早期に集患に成功。外来患者も獲得
2.B診療所
<概要>
・郊外の新興マンション群におけるマンション敷地内診療所
・呼吸器科の女性医師が、広く研鑽を積み、内科~小児科に幅広く対応
・駅から徒歩10分と離れた場所にありながら、早期に患者増を実現し、半年で黒字化
1.Aクリニックの成功の要因(ヒアリング)
<概要> ・23:30までの夜間透析とCT、カラードップラーエコーの導入
・電子カルテ、DICOMサーバーで完全電子化を行い、カルテ開示も実施
・透析は早期に集患に成功。外来患者も獲得
<成功のポイント>
1.情報の開示(オープンカルテ)=診療の品質管理
単に患者参加型とか患者指向型ではなく、医療の品質管理を指向することが目的であり、医療のコンプライアンスを保持
2.最新機器の導入=高機能な医療を実現
CTを導入し、高機能医療技術を用いた高い診療レベルの医療を家庭医が日常的な症状を対象に行う。「CTを撮ってください」等の問い合わせは頻繁
3.口コミや情報交換が活発なコミュニティーに立地
4.EBMの実施=個々の患者様にあった治療
5.社会への貢献=地域活動への貢献
各地域にて料理教室や・学習会を開催し、患者様の心のケアから病気、疾患に対する正しい理解と知識を持って頂くことに寄与。
6.一般外来と予約外来の実施
7.23:30までの透析=透析患者への社会復帰
8.充実したスタッフ
2.B診療所の成功の要因(ヒアリング)
<概要> ・郊外の新興マンション群におけるマンション敷地内診療所
・呼吸器科の女性医師が、広く研鑽を積み、内科~小児科に幅広く対応
・駅から徒歩10分と離れた場所にありながら、早期に患者増を実現し、半年で黒字化
<成功のポイント>
1.駅前にこだわらず、駅から遠いが十分に周辺住民を見込めるエリアを探し出し、競合となる診療所の少ない開業を実現
2.内装を温かく癒しの空間とし、家庭的な雰囲気を演出。待合室やトイレの広さは十分確保
3.開業当初は、保母さん出身の受付などを採用し、子供への気配りにも配慮
4.あえて院内薬局を採用し、収支は悪化するが、患者サービスには寄与
5.開業前に市場調査を実施し、見込み患者数と合うような物件の条件を確保。結果収支の確保を早期に実現
6レセコン一体型の電子カルテを採用し、スタッフ数をぎりぎりまで詰める一方で、職種にこだわらず少人数でチームワークよく動ける、組織を作ることができたこと